何年か前、当社代表大上の友人で銘木を扱う鈴木さんから「いいカウンターの入っている寿司屋さんがあるから見てきたら?」と教えていただき、代表と私で見に行った。住宅街のこんなお店で、お店とは思わず2度ほど通り過ぎて「ふじさわ」と書かれた小さな看板を発見。
本当は予約をして行くべきお店という事も知らず、突如訪れた2人をお店の大将と女将さんはそれでも怪訝な顔をしつつ迎え入れてくださった。昼食を終え、出てくるころにはすっかり意気投合。物造りに対する姿勢や考え方がこんなにも合う方々に出会えるものかと身も心も満腹して高山の当社保養所「惣四郎」写真集を進呈して帰ってきた。
その後、何度か公私に渡って利用させていただくうち、「ふじさわ」さんから移転か改修かを検討し始めていると聞かされていた。
当社代表も私もお店の工事に関わる気は一切なく、「いい店ができるといいね。」などと言っているうちに大将から「今の場所で、お店の改修をしたい。ビルドさん、受けてもらえませんか。」という依頼が代表大上に届いた。
当社保養所「惣四郎」を見て頂き、その上での大上の返答は「チーム惣四郎のメンバーであれば大将の思いをかなえられる。だから棟梁の井口さんが名古屋に来てやってくれるという返事がないと受けることはできません。」というものであった。井口棟梁は惣四郎竣工後、現代の名工に選出され御歳76歳。名古屋での仕事を受けて頂けるのか否か、「ふじさわ」を創る機会を頂いて東海・ビルドは受けるか否かは井口棟梁の胸先三寸に託された。