森部長からバトンタッチし、早速高橋晶子棟(S-1)からスタートします竹森です。
高橋晶子氏は横浜を拠点にワークステーションという事務所を構えている建築家です。高知県にある坂本龍馬記念館でも有名ですが、今回の北方ハイタウンのS-1棟を担当されました。
このS-1棟はRC構造の地上9階建で2棟構成になっている建物を共用廊下でつないだ住戸数109戸のマンションです。早速建物を見学。まずは共用廊下の方から。
共用部を見た瞬間今までに見たことも無いような硝子の壁が飛び込んできました。後で調べるとワイヤーウェーブライトという波形硝子というものなのですが、内部が透け透けかと思いきや、程よくカタが入っているのでそんなに気にならないかも。
共用廊下手前にもパンチングメタルのダブルスキン構造になっており、非常に透明感のある印象でした。エントランスも共用壁同様にワイヤーウェーブライトを使用しているのですが、内部の待合スペースと共に何とも可愛いデザイン。この辺が女性らしさを感じます。
そして一番目を引いたのは、ボイドスラブを半分に割ったようなカマボコスラブ。そういえば、梁が目立たないなーと思って見てましたが、この形状はかなりの荷重を受ける事が出来るスラブみたいなのです。もちろんディテールのおもしろさもあると思いますが。
続いて共用階段を見ると、屋根が無い!…私がもし屋根無しの階段で図面を書いたら、どんなにどやされるかと思いつつもこの規模であれば有りかなと思いました。そしてベランダ側、ベランダ側は整列した窓にベランダがランダムに接続しており、まあ普通かなと。ただ、カマボコスラブの見付がいいアクセントになっていて、これもまたおもしろかった。
住戸内部は前項のブログにアップされていますが、日本人にはなじみのある田の字型の間取りなんです。引戸を操作する事により自由に間取りを替える事ができるこのプランは、4棟の中でも最も人気のある間取りなんだそうです。
共用廊下からワイヤーウェーブライト壁をはさんで通り土間を配置する事で、日本人になじみのある使い勝手と十分すぎる北面採光を実現したものです。畳部屋が多いのも日本人向けかな。高橋氏いわく、「どのようにでも使える風呂敷のような、がらんどうの空間」を目指したそうです。フレキシブルに各々のライフスタイルに合った寄り添い型の考え方は、この建物はこうだ!といった主張感の濃い男性原理のトップダウンの設計とは人味違う、中から外のようなボトムアップの考え方が「ジェンダー」的な感性かなと。そう思いました。