こんにちは。設計部 渡邉です。
せっかく四国に来たのだから愛媛だけでは勿体ないと、今回は高知県梼原まで足を延ばしました。
梼原には、東海・ビルドblogでは、お馴染みの隈研吾 設計の建物が点在します。
初期の建築はM2などのポストモダン建築を発表していましたが、諸事情により作風が変わっていきます。
(※2014愛媛建築研修vol,3 参照)
梼原には、現在の隈研吾建築に移り変わるきっかけとなった「ゆすはら座」存続への関わりをきっかけとして、自然素材や、格子を使った繊細なデザインへと変わっていく転換期の建築が数多くあります。
『梼原町総合庁舎 梼原町役場』竣工2006年
内外部ともに、この建築には梼原の地場の杉材がふんだんに使われています。
公共建築物には珍しい木造であり、耐火基準を満たすため、各部材は燃え代を見込んだ考え方を採用。
“木の町”梼原の町役場に相応しい木の温かみが存分に感じられる空間になっています。
壁には、和紙も使用され、人の目、手の届くところにもデザイン、配慮されていました。
隈さんが教鞭をとっている慶応義塾大学が取り組んでいる21世紀COEプログラム
“サスティナブル生命建築”と題して梼原の気候、環境、歴史、風土に最も適した
新しい庁舎として計画されました。
この施設は、交流機能、情報発信、地域の連携機能を備え、交流を図る施設として整備。
建築的コンセプトは、まちの中の森。内部には杉丸太の柱を林立させ森の中をめぐるような内部空間。
下の写真。右側にはよーく見ると壁が建っています。恐らく構造的に必要な壁。
カガミを貼ることによって、壁自体の存在を消しつつ室内空間を広く見せていました。
設備(空調の吹き出し口etc)もデザインを崩さないように慎重に設計されています。
外壁材には茅が使われています。地域の伝統的な茅葺屋根に使われているのは見たことがありますが、
建築の外壁に使われているのは初めて見ました。なかなかの迫力…。
特徴的な外観によって、街並みの景観を生み出している。
この茅葺外壁!?は、メンテナンスにも配慮されていました。
茅葺屋根同様、葺き替えが必要になってきます。
茅自体が回転するように設計されており、内部にはメンテナンス用の通路も備えてありました。
自然素材を多く使う反面、メンテナンスへの配慮は当然重要になるのだろう…。
この施設は、次回blogに登場する『雲の上ホテル』の別館としても使用されています。
ホテル客室にも木のぬくもりと細やかなアイディアが満載。
視察メンバーも食い入るように見る。
U・I・Jターンを含めた若者の定住体験が出来る施設として整備されたが、観光客も宿泊できるとのこと。
次回は、ぜひ宿泊してじっくり体感してみたい。