こんにちは。建築研修in神奈川編の3番手、設計部井上です。
まず初めにご紹介するのは「旧近藤邸」。
大正14年に建てられたこの建物ですが昭和54年に取り壊しの危機に陥ります。
しかし地元の婦人たちによって生まれた保存運動を経て、現在は藤沢市民会館の
前庭に移築されています。
設計者は遠藤新(えんどう あらた)。
帝国ホテル建築のため来日していたフランク・ロイド・ライトに6年間従事した後
独立し、36歳の時にこの住宅を設計したそうです。
飾ってあった模型です。
建物としては当時ではまだ珍しかったツー・バイ・フォー(2×4)で、屋根は栗こば葺きで葺かれていたそうです。(因みに現在はコロニアル葺きです・・・)
設計者の意図としては関東大震災の直後に計画された建物という事もあり
耐震性を考慮してなるべく軽い屋根材を選定したそうです。
食堂には大谷石の暖炉。以前訪れたライト作「自由学園 明日館」でも見られたテイスト。
この辺りは師匠の良い部分を存分に取り入れていました。
和室から望む中庭。
幾何学模様の窓から注ぎ込む柔らかな日差しが気持ち良い空間です。
遠藤新とフランク・ロイド・ライトの違いとしては設計手法やデザインは師匠の
テイストで構成してある中、どこか日本的な香りや雰囲気が漂う所です。
西欧の模倣ではなく「遠藤新」としてのデザインを追及していたのかなと
思わせる“名建築”でした。