こんにちは。設計部 橋本です。
建築研修Blog no.4は最終日姫路です。
姫路といえば話題の世界文化遺産、姫路城!!
「いざ白鷺の姿を見にいかんっ」とはやる気持ちを抑えてちょっと寄り道・・・
姫路こどもの館へ
設計は安藤忠雄氏。1989年の作品です。
・本館 – SRC、地上3階地下1階建、延床面積7,006.69m²
・工作館 – RC、地上2階建、延床面積168.52m²
ものすごく大きな建物です。
安藤さんもまだ公共建築をやり出して間もない頃の作品。
いわゆる「安藤ディテール」と呼ばれる開口部や設備器具等をすっきり見せる納まりがまだ模索中で、
この建物を見て改めて、建物自体がアートだと言わしめた直島の地中美術館の美しさを感じられました。
ディテールとは異なり空間の構成、配置のダイナミックさ、大胆さには驚かされました。
見学する中で、スタッフの方が安藤さんの事をいろいろ教えてくれました。
この建物を建設する際、安藤さんもミスをされたそうです。
私なりの解釈もありますが、こうおっしゃっていたそうです。
ミスを気が付いた人に指摘されない自分が悪い。
小さいミスを指摘された際に、「そんなこと知ってるわい」と跳ね除けていた態度が
大きいミスがあった際に、周囲から指摘しにくい状況を作りだしていたんだ。
また、「安藤さんだから」当然大丈夫だろうと周囲に思われていた。そういう環境が良くなかったんだ。
普段から指摘に対して素直に受け止め、「ありがとう。ありがとう。」と言っていれば大きな問題も起こらなかっただろう。
私には
「建築は一人で創るものじゃない、活発な意見が出しやすい環境づくり、それをまとめる力。お互いにカバーし合える現場があってこそ良い物が創れるんだ。」
って聞こえました。
工作館から本館の方角、ダム湖を眺める。木が茂る前は本館へと続く通路が見えたそうだ。
こちらは星の子館
天文台の大きな天体望遠鏡で星を見たり、工作会などを通じて宇宙に親しんだりできます。
宿泊もできるそうです。
建物は低層の四角、それに45度振った高層の四角。
円形の屋外劇場が重なるといった、シンプルな構成なはずですが、内部に入るとなかなか複雑に感じました。
さて、最後は世界文化遺産、姫路城!
姫路城と言えばまず目に映るその白さ。
壁はもちろん、屋根瓦の隙間など外部に現れたほとんどの表面を
漆喰で仕上げた「白漆喰総塗籠造」と呼ばれる工法で仕上げたお城です。
その白く美しい姿が、天空に翼を広げた白鷺(しらさぎ)を連想させることから、白鷺城とも呼ばれます。
今の白さが見れるのは後4、5年だとも言われていますので、見られていない方はお早めにどうぞ!
姫路城は石垣も大変美しく、
また時代を通して改修をされており、石積みの技術の発達、時代背景が感じられ、見ていて楽しいです。
優美な曲線から「扇の勾配」と呼ばれている石垣
姫路城では、天守台をはじめ主要な櫓台や高い石垣は 「扇の勾配」の積み方をしています。
この勾配の特色は、 石垣の傾斜面を内側に扇を開いた形に湾曲させているもので、
こうした傾斜をつけることによって、石垣を高く積むことが出来ます。
勿論、石を高く積むだけではなく、石垣の内側に含む水や土の圧力で、崩れやすくなるのを防ぐねらいも あり、
また攻め手がよじ登るのりにくくなっています。
秀吉時代の石垣 / 野面積み
加工していない自然石を積んでいくため、石の形も大きさも不揃いです。特に隙間に詰める小石が目立つのが特徴です。
池田輝政、本多忠政時代の石垣 / 打ち込みハギ
石の角を槌でたたいて平たくして組み合わせる方法。
姫路城はこの石積みが多いです。
江戸時代初期の石垣 / 切り込みハギ
もっとも新しい積み方です。タガネで削って四角形にした石を、隙間無く積み重ねていく手法。
時代と共に進化していますね!
この時代に城を大きくしたんだ!っていうのが見て分かります。
石垣には、石臼や石棺など様々なものが転用されています。
「墓でもなんでも良いから積めるもん持ってこんかいっ」と築城時の緊迫した情景が浮かびます。
お城を見る時、一つの事にスポットをあてマニアックに見て行くのもお勧めです。
以上橋本でした。