こんばんは。研修ブログリレー5番手の設計部井上です。
今回ご紹介するのは、初日に訪れた「倉敷」。
美観地区内を散策していた時、ふと立ち寄った一本の路地。
現れたのはギャラリー&カフェ「夢空間はしまや」
楠戸家という老舗の呉服屋の一角にあり、平成8年に岡山県初の「登録文化財」に指定されたのを機に、米蔵をリノベーションして誕生したそうです。
当日は何の情報も無くフラフラと入ったこのギャラリーでボタニカル増田がバラの形をした岩塩オブジェを購入!このオブジェがこのあとトテツモナイ展開を導きました!
オブジェのお勘定をしている際、お店の人との雑談中に名古屋から研修に来たという話をすると、
「この辺り一帯の古民家再生を手がけた設計事務所がこの建物の裏にあるよ。」
「よかったら見学すれば!」
・・・思いがけない展開に色めき立つ森部長他設計部一同。
最初は遠慮がちに、
「この後、向かいのお店(トラットリアはしまや)で食事の予約をしているので・・・」
と言う森部長。
「あ、楢村さん!今名古屋から来た人たちが見学に行くからヨロシクね!」
あっという間に電話して頂き、快くOKが出た様子。すかさず
「あ、社長!設計部は食事に遅れますから先に食べてて下さい!」
こちらも負けずと即電。これで心置きなく見学へGo!
先ほどの路地の突き当りを抜けると・・・
見えてきました「創想舎」
1階に打合せを行う「サロン」2階に設計室を構えるこの建物は、楠戸家の一角にあり江戸期の藍染め納屋を改装したもの。
鉄骨フレームで補強されたピロティ。
1階のサロン。テラコッタタイルの床にバリ島からの直輸入したチェアが映える空間。
一同思い思いに見学していると、2階から楢村先生がお見えになりました。
森部長と名刺交換を行い今回の研修主旨を部長が説明すると、先生が建物について色々と説明して下さいました。
土間ホールにある「ベニスの壁」と「モロッコの土の塔」
絶妙なコントラストに一同驚嘆。
先生は建築家が意図的に創り出した「建物」では無く、その地域の必然性から生み出された「建築」、土着的な民家を世界中回って研究しているそうで、その中で日本的な古民家というヴァナキュラー(土着的な)に世界のヴァナキュラーを融合させるという設計コンセプトを編み出し、それを具現化したそうです。
楢村氏曰く
「古いものに無理やり合わせるのでは無く、新しい部分をはっきりと使いコントラストをつける。“時間の軸”を意識して古い部分を尊重した上で新しいものを重ねていく事が重要」
との事。
楢村氏は30年以上前から古民家再生に力を注ぎ、日本の古民家再生のパイオニア的存在。
倉敷の地に生まれ育ち、仲間と共に地域の住宅のあり方を模索している中、古民家の再生に出会ったそうです。バブル期には周りから「そんな仕事しかないのか!」と軽蔑された時期もあったそうですが、今では人口減少、少子高齢化といった社会問題の中、リノベーションは当たり前の時代。
「建築の社会性」という課題を古民家からまちづくりへという「点」から「線」、線から「面」へと展開させ、今では倉敷美観地区内の中心市街地活性化計画事業を行っている楢村氏。
一つ一つの言葉に重みがあり、突然の訪問客を親切に迎えて頂いた楢村先生。
貴重なお話を頂き、本当に有難うございました。
(今後の東海・ビルド「古民家再生」にこうご期待!!)
・・・一方、今回の体験を生み出した幸運の岩塩オブジェ君。
増田家にとっては思いのほか不評なお土産となり、家族からバッシングを浴びる結果となったそうです・・・