本当に予期せぬ出会い。
建築の勉強を始めると
歴史と構造、デザイン各所で必ず目にする
バックミンスター・フラー。
建築家であり、デザイナーであり、科学者であり、思想家であった人。
「失敗とは人類が考えだした概念だ。自然には失敗というものはない。
人間は自分の判断力に対する信頼を失う時、
失敗するが自然はそういう失敗をしない。」
という言葉を残しています。
私個人の捉え方は
古き良き時代のアメリカであったからこそ生まれた天才。
バックミンスター・フラーというとフラードームがあまりにも有名ですが
フラードームは1947年に発明された。
その特徴は、従来の建物の概念を根底から覆す、
四角く、梁や柱のあるそれまでの建築物の考え方とは一線を画すもので、
2種類の形の異なる三角形を用い、
それを相互に球体状になるように組み合わせることで、
最小の部材から最大の空間容積を生む事が出来る構造物。
この天才が発明した住居が
ダイマキシオン居住機械(通称「ウィチタ・ハウス」)。
一気にお見せします。
今回は少し長くなりますが、おつきあいを。
いきなりこれを見たときは本当かと目を疑った。
世界に一つだけ、ここにしか残っていない。
このゲートからパネル展示を見ながら内部に入る。
頭上にビーチエアクラフトとありますがこの家は
航空機産業との協同で開発された。
窓越しの居間。モンゴルのパオを思い出しつつ
内部へ
火星に住居を作るとこんなものができるのではないか?
などと宇宙船のイメージをもちつつ
航空機の技術も垣間見える。
なんというか、機械的ですが不思議な柔らかさがある。
左は今で言う所のユニットバス。
右の木目の部分はクロゼット。
あらゆるものがユニット化された工業製品。
日本でも中途半端にユニット化された住宅はありますが
ここまで徹底していると心地よい。
なぜだかこの時は茶室の雰囲気を感じていた。
極限までそぎ落とした空間という点で共通するものがあるのかもしれない。
興奮してキッチンを撮影し忘れましたが
システムキッチンとはこれだ と思ってしまう。
東海・ビルドが日々研鑽している手作り感満載のデザインとは対極をなす家。
発表されたものの当時は
資金的な問題や戦後の社会状況の変化などが重なり事業は頓挫してしまう。
ダイマキシオンとは「ダイナミック(動的)」「マキシマム(最大)」「テンション(張力)」
の複合語と言われており、フラーのブランド名として多くの作品の接頭辞に付けられた。
ダイマキシオン・シリーズはほかにも、
飛行機の形態を自動車の形態に取り入れエネルギー消費を抑えた「ダイマキシオン・カー」、
大量生産可能なパーツを組み合わせることで作ることができる「ダイマキシオン・バスルーム」
(今で言うユニットバス)、
多面体表面に世界地図を投影した「ダイマキシオン・マップ」などがある。
どうですか、この車!
実際に建てられたダイマキシオンハウスはというと
次回はヘンリーフォードミュージアムその他の展示を紹介します。