「こんにちは~!」
・・とても威勢の良い声が東海・ビルド本社の1階に響き渡ったのが昨年の9月14日でした。
「お店を改装しようか、建替えようか迷ってるんだよね~!!」
矢継ぎ早にどんどん話し始める・・・
「担当の者を呼んで参りますので・・・」
受付で対応したスタッフが慌てて2階へと走り、
「店舗を改装したいとおっしゃる方が来社されています。」
と聞き、1階へと駆け降りた私、設計部の井上です。
「築40年のお店を改装しようか、建替えようか迷ってるんだよね~!!!」
「外観はシンプルでモダンな感じの中にも、お店に入りやすくなる
工夫もほしいよね~!!」
「お店の常連さんからビルドさん、評判良いし、感じの良い建物を
造るよ~って聞いたから来たんですよ~!」
・・常連さん、有難うございます。こういった口コミで良い評判が広がる事に感謝しつつ、
とても元気の良い大将に圧倒されつつ、この日を境に東海・ビルドと和食屋「井筒」の共同作業が始まりました。
一品料理・ちゃんこ鍋・うなぎ「井筒」
住所は名古屋市名東区八前1-111
お店の場所を教えて頂き、早速現場調査へ。
お店では大将のお母様もお見えで、調査と並行してお店の歴史を教えて頂きました。
お母様曰く、現在の場所には30年前に引越して来たそうで、以前は東区にお店を構えていたそうです。
ご主人(大将のお父様)で6代目、大将の代で7代目となる、歴史あるお店。
江戸時代末期に「能」を見に来るお客様が立ち寄る待合小屋「井筒屋」が屋号の由来だそうで、相撲の井筒部屋とは無関係との事。
ただご主人(大将のお父様)がお相撲さんと知り合いで、名古屋場所の際にちゃんこ鍋を作っていた事をきっかけに
お店でも出し始め、今やお店の看板メニューとなっています。
(実際にランチでちゃんこラーメンを頂きましたが絶品です。本当ですよ。設計部一同、虜となりました。)
ご主人(大将のお父様)も忙しい時は厨房に立たれるそうで、親子3人でお店を切盛りしています。
お母様から「今のお店の面影を残したい。」とのご意見も踏まえ、大将の
「シンプルかつ、モダンで遊び心があり、あまり敷居が高くなり
過ぎないように、入りやすい雰囲気で~。」
といった意見を元に、ここから何度となくプランの遣り取りを行いました。
第一案。シンプルな形状でまとめつつ、アイアンの庇と入口の板貼りをアクセントに、
既設の瓦を足元の緑地帯に再利用する案。
赤ちょうちんは大将のこだわりで、
「やっぱり、和食屋は赤ちょうちんでしょ~!」
その後、更に検討を重ね、既存の躯体を出来るだけ再利用する案を提案。
既設の瓦を効果的に残しながら、杉板をよろい張りで大胆に配置するプラン。
「本物の木だと腐るよね~!」
「メンテナンスが大変だよね~!!」
確かにメンテナンスは大変になるが、出来れば本物の素材感を活かしたい。
ここは大将に負けじと、
「大将の料理も素材を第一にこだわっていますよね!」
「是非、大将の料理に負けない外観にしましょう!!」
・・・しばし考え込む大将・・・
「まあ、分からんでもないけど、やっぱりメンテも重要だよね。」
「あと和風が前面に出過ぎているかな~」
色々な意見を交えながら、第三案。
外壁のベースをジョリパットとし、竹(擬竹)をあしらったサインをアクセントとする案。
雨が係らない軒下に杉板を配置し、入口横には大将こだわりの「赤ちょうちん」を造作照明で表現。
「ちょうちんは、ちょうちんじゃないと~ね~!」
赤ちょうちん風照明器具、撃沈・・・