三回目の北海道研修旅行は伊丹潤の設計「ホテルニドム 石彩の教会」をご紹介。
森の散策路の様な道を進んでいくと、木々の隙間から石積みの建築が見えてくる。
周囲となじみながらも存在感があり、力強さを感じる。
来る人を受け止めるかの様な扇型の平面をした建物は待合。
香川の庵治石が積まれ、鋼製のエントランスが迎える。
待合からは礼拝堂に向かって廊下が続く。
礼拝堂。
奥に向かって高くなり、窓から木々の緑が飛び込む。
皮つきの丸太、加工されていない石。荒々しい素材を使いながらも内部にいると洗練された空間に感じる。
登り窯をイメージして設計し、結婚式場の教会ということもあり「礼」のある空間にしたかったそうです。
屋根を支える木の架構をシザーズトラスといいます。
この架構を見るとアントニン・レーモンドの建築を思い浮かべる人も多いはず。
調べるまではレーモンドの母国の様式なのかなって思いこんでいたのですが
実際はレーモンドが寺の屋根組みや、屋根の仮支えの組み方を日本で見て思いついたそうです。
札幌の聖ミカエル教会/アントニン・レーモンド設計
石水館/白井誠一設計
この建物に訪れてみてレーモンドの教会と白井誠一の石水館に強く影響を受けているなと感じました。
伊丹潤は石水館の石の選定にも関わっていたし、レーモンドとも親交があったそうです。
二人に対する尊敬の意なのか、挑戦の意なのかどうなのかな?とかいろいろ考えながら帰路に着きました。
当然といえば当然かもしれませんが、仕事を通して得た事や見て感じたものが設計に現れるモノです。
見て感じて吸収したものをアウトプットする大切さを再確認した建物でした。
設計部 橋本