こんにちは。設計部 渡邉です。
先日、広島出張の際に予定より打合せが早く終わったため、帰りの新幹線までの時間を利用して
”ぶらり建もの探訪”
と題して、散策してきました。
カトリック幟町教会 世界平和記念聖堂
設計:村野藤吾
竣工:1954年 国指定重要文化財
※村野藤吾
日本を代表する世界的建築家の一人。部材一つ一つの細部にまで手づくり肌触り感を大切にし、戦後大流行した合理主義・機能主義一辺倒の建築物に対し、人間中心主義を主張、ヒューマニズムあふれる作品を発表し続けた。
代表作:大阪新歌舞伎座、横浜市庁舎、日生劇場、箱根プリンスホテル、新高輪プリンスホテルなど。
東海地方では、志摩観光ホテル、丸栄など
『世界平和記念聖堂』
世界で最初に被爆した広島の地に平和のシンボルとして献堂されたカトリック教会。
多大な寄付により、1950年8月6日に着工、5年の歳月を重ねて竣工した。
全長57メートルで,東端に花弁形平面のドラムを建ち上げ,北側西寄りに鐘塔を建てる。平面は東方を内陣とした三廊式バシリカ会堂である。
三廊式バシリカ会堂とは… 下図参照
ローマの集会堂(バシリカ)をベースとし、横長の長方形あるが、縦棟が付き、全体に十字形(ラテン十字形)を構成することが多い。祭壇方向(右)への集中性が顕著で、特にカトリックのミサ儀式に適している。
内部空間は、外の世界とは縁を切って、シーンとした何とも言い難い空気感があり、ステンドグラスから神秘的な光で満ち溢れていた。
側廊の連続したアーチも良い。
外側には、フライングバットレス。
様々な飾り開口が開けられている。
レンガを一部飛び出させて、外壁に変化をつけている。
塔の細部、開口の飾りも、また面白い。
村野藤吾らしい外壁、屋根形状…
コンペの条件だった「日本的性格」も随所に見られた。
冒頭にも書いた通り、寄贈品もうまく取り入れられていた。
扉は、ドイツから…
ステンドグラスは、オーストリア・ドイツ・ポルトガル・メキシコ等から
全体を通しても、どれをとっても考えられた造形と細部…。
素材の組み合わせや、空間の構成などの様々な「センス」に脱帽しきりでした。