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2021-01-27

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地業(地盤補強)

『木杭ですか?』

全く予期せぬ提案営業にこちらはびっくりしてしまい、次の言葉が出てきません。『表層改良、柱状改良、鋼管杭の案件に・・・一度ご検討願います。』

国内では、1198年に相模川に架けられた橋の橋脚に木杭が使われ、それが最古のものだとして、史跡保存指定がされております。その材種なんと、ヒノキ。木杭といえばマツと思い込んでいた私は、再び驚きです。

丸太杭画像

木杭に求められるもの。それは、耐久性と強度。その後調べてみると、①野外での心材(中心部の赤いところ)の耐久性はマツよりもヒノキが上。②圧縮強度はヒノキよりアカマツ、クロマツが優れていました。(カラマツはヒノキと引き分け。エゾマツ、トドマツはヒノキに劣っていました。)

そして今回の業者様の提案はマツ、ヒノキに加え、スギもあります。スギもありますどころか、カタログにはスギ、カラマツ、ヒノキ・・・。サブではありません。あいうえお順でもない。えっ、何度目の驚きですか?

『スギって、強度はあまり・・・。何故?』『木材を腐朽させずに長期間使いたい場合は、①常に乾燥した状態または常に水没した状態で使用する。(佐賀の吉野ヶ里遺跡は、それだから出土品の状態が良いと聞いたことがある。)②防腐剤を加圧注入して使用するなど,いろいろな工夫が必要になります。』

『話しが、全く脱線して申し訳ないのですが、洗濯機。衣類と衣類を絡ませて汚れを落とすというものが、従来の考え方だったのですが、A社さんは汚れを落とすのはあくまでも洗剤。衣類の糸と糸の隙間にどうやって洗剤を浸み込ませるかという考えに方向転換し、それから良い評価を頂いているそうです。・・・スギは薬剤が心材に浸透しやすい。』『その通りで、マツの心材には防腐剤の注入はかなり困難で・・・。』私の無理矢理に業者さんは合わせてくれました。ありがとうございました。

海外ではヴェネツィアの木杭基礎が有名です。ヴェネツィアは森のない街。でも、“逆さにすれば、森はある”といわれるほど地中に大量の木杭が打ち込んであるそうです。15世紀になってから木杭が使われていたそうなので、数百年の耐久性はあることが実証されていますね。国内では東京駅改修工事で、約100年前の木杭が腐食なく出土(これも出土というのか)しました。これはマツ。

計算上でもコンクリートと同等の強度を確認、耐候操作試験では60年以上の耐久性が確認出来たとのことです。(B社様調べ)

とは言っても、いくつかの条件を満たさないと検討に入れません。ただ、ひとつの選択肢として、今後検討してゆきたいと思います。製造過程、木材の成育過程でもCO2の削減が期待できる木杭。一番のメリットはこの点でしょうか。

勉強になりました。もうすぐ節分です。今年はなんと124年ぶりの2月2日なんですよ!しっかり鬼を追い払い、又、今までのような当たり前の生活に戻ることが出来るよう祈ります。安江が書きました。

 

 

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