こんにちは、設計部の池内です。
GO TO 東京と題しお送りしてきたこのシリーズの最終回。
紹介するのは
大地に屹立した巨石さながらの佇まい、角川武蔵野ミュージアムです。
巨大かつアイコニックな建築でとにかく圧倒的な存在感があります。
GoTo 東京と謳いつつ最終目的地は埼玉県所沢市でした。というのも東京に行くことになった際、「隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生-石と木の超建築」という展覧会の情報を見つけ、是非とも見ておこうと思ったからです。行ったのはプレオープン期間で催しもその期間限定のものでした。
この敷地一帯の施設は、「ところざわサクラタウン」という所沢市とKADOKAWAが進める地域づくりプロジェクト「COOL JAPAN FOREST」の拠点だそうです。
なので展示は角川武蔵野ミュージアムを含む「ところざわサクラタウン」の計画についての解説
隈研吾設計の建築作品の模型
その他に隈さんのインタビュー映像など充実した内容でした。
当の建築はというと、外壁にはブラックファンタジーという花崗岩を使用。人が運べる大きさ50cm×70cm×7cmに加工し、約2万枚もの花崗岩パネルを61面の多面体に取り付けます。割り肌加工という石材表面の凹凸による段差を揃えない工法で、荒々しさや力強さを出すために、敢えて凹凸や色合いが似たものは並べないという拘りです。
規格化された花崗岩パネルを多面体に取り付けることで、解像度の粗い3Dモデルのような形態となっています。近くで見ると物質的な粗さ、遠くから見るとデジタルな粗さが見える表現です。
それにしても、圧倒的な存在感。「大地が隆起したような建築」と紹介されてはいましたが、どこにでもあるような郊外の風景の中にこれが建っているわけですから周囲に馴染むはずもなく、シンボリックな存在となっています。
強いて言うなら自然というより超自然、つまり信仰の対象となるようなものとしての建築なのかなと思いました。
隣に武蔵野坐令和神社神社という新しい神社が建っています。また隣の敷地あるのは武蔵野樹林パークという落葉広葉樹林です。
古くから自然への信仰の対象として磐座というものがあります。鎮守の森としての武蔵野樹林パーク、祈りの社としての武蔵野坐令和神社、それに対して信仰対象の磐座として位置付けられたのが角川所沢ミュージアム。文化を発信するアイコン的存在であると同時に、古くからある自然信仰を現代的に翻訳して創ろうとした、そう受け取ることもできる計画でした。
以上、GO TO 東京の旅いかがでしたでしょうか。機会があればまた色々な場所で見てきた建築を紹介していきたいと思います。