こんにちは、設計部の池内です。
前回、京セラ美術館のブログで帝冠様式について少し触れたので、
今回は名古屋の帝冠様式建築について紹介したいと思います。
内部で展示されている模型
俯瞰で見ることができてシンメトリーな全体像がよくわかります。
ロの字型になっている理由の一つは、窓を開放して風通しよくするのに都合がいいからです。
当時の空調設備が不十分な状況では、大面積で窓がない空間を避ける必要がありました。
入ってすぐの中央階段
大理石が贅沢に使われています。
階段ホール見下ろし
大きな窓に嵌められたガラスは建設された昭和初期に製作されたものだそうで、表面がわずかに波打っているために向こうの景色が揺らいで見えます。
中央廊下から見た中庭
窓のプロポーションは京セラ美術館と似ています。
議場前ホール
アール・デコのタイル装飾は釉薬の色がきれいです。
正面のタイルは窯変タイルというそうで様々な色の模様が現われています。
名古屋市役所と京セラ美術館(旧京都市美術館)の共通点として、
・RC造に和風の屋根を乗せた意匠
・シンメトリーな外観
・中庭を抱え込むプラン
・縦に大きな窓
・漆喰、大理石、タイルを用いた内装
など、共通した特徴がみられました。
豪華な造りの車寄せや、外装をタイルで施し上部に一段「帯」のようにして意匠を変化させるのも特徴です。
西洋の建築が入ってきた頃、特に庁舎のような大規模なものでは、
今まで扱ったことのないほどの大きな壁面が間延びしないように外観のデザインに苦心したそうです。
地域は異なっても、時代によって様式の特徴が色濃く表れているのは面白いですね。
身近にもいい建築があるので目敏く見ていきたいと思います。