こんにちは。工事部の須川です。
今回は土留め工事について書こうと思います。
建築工事において土留め工事とは、竣工する頃には撤去されていたり基礎と共に土の中へ埋まってしまって最終的に見えてくることはほぼないものです。
最終的に必要ではなくなるものですが、工事を進める上で近隣の住宅や構造物、職人さんの命を守るためには必要不可欠なんです。
今年の夏、伊豆で大規模な土砂崩れがあり、数十名の尊い命が奪われました。
不適切な盛土が原因といわれています。
土というのは崩れ始めたら人間の力では太刀打ちできないのです。
建築工事ではそれほどたくさんの土を動かすことはありませんが、それでも身丈よりも高く地盤を掘ることはよくあることです。
敷地境界線ギリギリを掘削すると隣のお宅の基礎の下にある土が流れます。またその流れた土は職人さんたちの作業を妨げます。最悪の場合はその流れた土に職人さんが埋まってしまいます。
そうならないために土留というものを作るわけです。
土留といってもその種類は様々です。
土だけを留めるもの、水を多く含んだ土(泥)や水そのものを留めるもの等。
今回は土のみを留める親杭横矢板工法についてです。
この工法はH型鋼を親杭として一定間隔に打設し、掘削と共に木矢板等の横矢板を設置しながら施工していく工法です。
H型鋼を建て込むための孔を開けます。
根固め液を注入し、建て込み後にH型鋼が倒れないようにします。
H型鋼を建て込んでいきます。
孔を一度埋め戻します。
掘削するとH型鋼が姿を表すので、間に矢板を設置しながら掘削を進めます。
施工写真だけ見ると簡単にみえるかもしれませんが、設置後に土圧に負けてH型鋼が倒れてきたり矢板が折れて土砂崩れなんてことになってしまわないように、元の地盤の高さと掘削した後の地盤との高低差、そこにかかる土量や土圧、それに耐えうるためのH型鋼の大きさと埋設深度・ピッチ等の構造的な計算をしっかりしないといけないのです。
そうして近隣の方の自宅や職人さんの安全を守ることができるのです。
長くなりましたがお目通しいただきありがとうございます。
工事部 須川