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2012-06-30

S別邸 見学記 Vol.5 竹森

こんにちは。設計部の竹森です。S別邸の事は前走者がほとんど記述してますので、私のお気に入り風景をメインにお話ししようと思います。

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お気に入り1:この角度からの外観

建物を360度ぐるり回って見ましたが、この角度がちょうどいい、と思っていたら某建築雑誌にも同じ角度から・・・。ちなみにこの建物の構造、RC・鉄骨・木を適材適所に配置したハイブリッド構造だとか。やじろべえのようなこの外観を持たせている基礎は、さぞかし相当数の杭が入っているんだろうと思いきや、ベタベースの直接基礎なんですって!!とはいいつつも一般住宅のベタ基礎とはスケールが違うものだとは容易に伺えますが・・・。

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多面体の屋根と簡単に言いますが、めちゃめちゃ切り替えの多いこの面に、屋根を葺くのは超大変です。葺く順番なんて皆目分かりません。なんでもこの屋根を葺いてもらう為に、京都からわざわざ一流の職人に来てもらったみたいです。

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お気に入り2(左):玄関からの風景

玄関に入り前を見ると、階段手前に何とも良い位置にスリットが入っており、差し込む光が心地良い。隙間のデザインとはこの事なんだなと感心してしまうような風景です。前述で深見さんがこの建物が16度振っている事に触れてましたが、調べてみるとこの角度を境に活と静の区分けをしているみたいです。私は正面から見た階段のささらが、16度のずれにより奥まって見える部分が好きです。

お気に入り3(右):多面体天井とピアノ

本当にきれいな多面体の天井とピアノのコラボ写真です。多面体の天井は計算された反響を生み出してピアノの音が際立つようです。(ピアノの音は聞いてませんが・・・) 床がスキップしてるので、ステージなんかにもなっちゃうとか。

4お気に入り4:大開口からの風景

リビングからの眺めは最高!!としか言いようのない景色。テラスの手摺は存在感をなくす為に極限まで細めているとの事。ここまでくればもはや手摺の意味は無い。多分基準法的にはアウトではと野暮を言いますが、おそらく執念で実現したのでしょう。手前の木があえて残されている事で、風景的な遠近感が増しているように思えます。

と、私なりに講釈をしてみましたが、なによりもこのお宅にはテレビが無い。時計もない。(オラこんな村イヤダーと続けてしまいそうですが・・・)それでいいんです。それがなによりの贅沢だと思います。都会の喧騒から離れ、時間も時事も気にしない自分だけの時を楽しむ。腹が減れば車に乗ってそば食って、帰りに温泉につかり、自然の恩恵に感謝しながら夕日を眺め、火を灯した暖炉と向き合いながらワインを飲む。せちがない世の中で、本当の豊かさとは何なのかを実感したそんな建物でした。

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