設計部の竹森です。今年も立冬を迎え寒さが一層厳しくなる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、お馴染となりました東海・ビルド一級建築士事務所主催の建築見学ツアーも早5回目となりました。今回は秋の紅葉のもと、建築の名作を求め34名のお客様と8名のスタッフで長野県の諏訪湖東岸から八ヶ岳へ行って参りました。
朝8時に本社を出発 → 神長官守矢資料館及び高過庵と空飛ぶ泥船(藤森照信) → 竜神亭にてランチ → 康耀堂美術館(ユニバーサル設計) → 八ヶ岳美術館(村野藤吾) → たてしな自由農園にてお土産と喫茶
といったスケジュールでした。今回は少し趣向を凝らして、神長官守矢資料館にて藤森さんの作品を構図に含めた写真撮影大会を致しました。審査員は弊社専属カメラマンの谷瀬氏と石川氏に審査して頂きます。結果発表が楽しみ!!
こんな感じで皆さん撮影されてました。
さて、今回の旅の様々な思い出はスタッフ一様にあるようですので、ここからはそれぞれの思い入れの事柄をざっくばらんに綴っていこうではありませんか。
それでは私から・・・
私のイチオシは何といっても、今回2回目の訪問となります日本建築会の巨匠、村野藤吾の八ヶ岳美術館です。
今から約15年前、大学受験の面接ネタを探しに高校の図書室で見つけた『日本の近代建築史』という堅苦しい本を無造作に開いたページにこの写真がありました。一見して何だこれは!と唖然とした半面、建築はこんな事もできるのかと、この業界の可能性に胸躍らされた事を今でも忘れません。つまり私が建築を志すきっかけとなったのが八ヶ岳美術館だったといっても過言では無いのです!!と、当時の記憶を思い起こし高ぶる気持ちを抑えてすこし能書きを。
八ヶ岳美術館は原村の彫刻家、清水多嘉示氏が自らの作品を村へ寄贈された事を受け、村野藤吾設計により1979年に完成しました。実は私も1979年生まれ、何か運命を感じたのかもしれません。当時は村立の美術館はとても珍しかったようです。
大きな特徴としてお椀型の屋根の連続があり、蓼科の連峰を思わせるデザインになっています。当時、村野藤吾はこんな事を言っています。
『カラマツの美しい林を損なわないように、樹木の無いところを敷地図の中に展開し、建物があまり極端に自然の中で孤立して、自然と異質な形で存在する事を排除しようという気持ちがあった』
建物の展開、屋根の形状、雨水の取り方、そしてこの場所への存在の仕方。この言葉が計画に関わる全ての配慮が集約されているように思います。
そしてインテリアにもその心が宿っている気がします。静穏で上品な雰囲気は外観とのギャップを感じ、良さを強調しているかに思えます。そして何といっても圧巻なのは天井のドレープ状に吊るされたレースです。大変複雑な取付のようでして、これはもはや図面でどうのという世界では無いような気がします。
※ここでツアーに参加されました方へここで訂正
バスの中で『このレースは職人不足から竣工から未だ取替が行われていない』と発言致しましたが、どうやら2010年に満を持して取替が行われたようです。私の情報が古かった事、ここでお詫び申し上げます。お客様から『意外ときれいだねー』などと言われ、あせって確認致しました。
などとざっくりと今回の旅行の1ページを語らせて頂きました。しかしいつも思うのですが、この建物は写真を撮ろうと思ってもベストポジジョンが無いんですなー。などとお客様とアングル探しに必死でした。