円弧壁が連続する家
Concept
名東区の閑静な住宅地の中にそびえ立つ円弧壁で形成された住宅。
他には無い終の棲家を創りたいと『憧憬舎1970』に来場されたのは1年半前のこと。
中心や半径寸法もバラバラな連続する円弧壁を組み合わせ、その隙間から光と風を取り入れる。
地下から地上に至るまで3段階に展開するスキップフロア。
庭の中心から放射状に延びる軸線に沿ってレイアウトされた各室。
当初のコンセプトを最後まで貫き、まるで生物の進化のようにその形状を変えながら完成。
Data
エリア | 名古屋市 |
---|---|
構造 | 鉄筋コンクリート造/地下1階、地上1階建 |
延床面積 | 310.69㎡ (93.98坪) |
建築家 | Yosuke Masuda |
Construction工事部
最初に図面を見て「なんだこの建物は!」と思いました。正直アールの建物には大分慣れてきたつもりだったのに、形を理解するだけで随分時間が掛りました。それを業者さんに説明するのにこれまた一苦労。 ご主人は非日常的でダイナミックな空間を希望され、奥様は最低限の日常性は確保したいけど、素敵な家にしたい・・・。 御夫婦二人の住宅に向ける情熱はとどまるところを知りません。ご主人は冗談で「完成したら俺は倒れるんじゃないかな・・・」とおっしゃるほどでした。そんな感じで毎回熱のこもった打合せを重ねてきました。そして、その情熱を形にしていくという大きな達成感を感じられました。
Operating建築企画室
勢子坊の家のお隣は保育園です。夕方になるとお迎えの親御さんと幼児で賑わい、現場に居ると親子の会話が聞こえてきます。 「これってお家なの?」「お城ができたよ」などなど・・・ 通りがかる御近所さんも、大抵は立ち止まって見上げているこの邸宅は、施工中に定期的に行う定例会議(施主と東海・ビルドの打合せ)では、毎回3~4時間費やし、ほぼ深夜に及びます。 膨大な打合せ事項を、施主と設計士、現場監督が、意見を交わしながら進めていく姿を度々見てきましたが、大切な家づくりが、その垣根を越えて街の景観の一部になっていく様子を感じることができた今回のプロジェクトでした。
Architect設計部
すべては1枚のスケッチとスタディー模型から始まりました。勢子坊の家は、水平・垂直のX,Y軸といった軸は数本しかなく、ほとんどがR軸や放射状の軸で構成されています。このプロジェクトの一番の思い出は施主様との数え切れないほどの打合せです。数々の変更を重ねながらも、最初から最後まで「後悔しない住宅を創る」をモットーに施主様と打合せを行いました。打合せはお互いに熱中するあまり、ほとんど深夜に及びました。お腹空くでしょ?と いつも美味しい差し入れを頂いたり、この雰囲気どうかな?と施主様が海外で撮影してきた写真で刺激を受けたり、忙しい施主様に何度も現場に来て頂いてイメージを確認したり、1つの仕上げにも数多くの思い出と思いがあり、施主様と共に本気になって創り上げた達成感を味わえ、最高でした。