このシリーズ、トリは森です。
取り上げるのは
親和銀行本店(佐世保市)。
白井晟一の代表作。
白井の作品は東北地方の小品やいくつかの住宅意外はあまり残っていない。
親和銀行の東京支店も白井の自邸も解体の憂き目にあった。
ドイツで哲学を学び、帰国後は建築と書の世界で名を馳せた白井晟一。
丹下健三とは対極の位置にいた巨匠。
側面の素材のぶつかり合いがこの建物の特徴。
そして、窓周りのデティール。
石造に穴を「穿つ」表現としてはかなり特徴的。
マグサを無視したデザインながら軽くはなく、重厚さを保っている。
隙間と石の取り合い。隙間は地層にできた裂け目のよう。
石のデザインはよく見るとかなり複雑。
そしてその下のエントランスは
この棟はコンピューター棟で一般人は立ち入り禁止。
裏側のアーケードに面した銀行窓口に回る。
石の固まりが浮いている。それでいて不安定な感じは無くむしろ
重厚さを増しているあたりが白井マジック。
建物の足元の石の納まり。
憧憬舍離宮の琉球石灰岩の足元。
ちょっと思い出した。
さらにエントランス右のちょっとしたスペース。
テントががあったりして、見にくいのですが
本来の姿は
この辺りのデザインが白井晟一の「手」の痕跡。
内部は撮影禁止のためお見せできませんが、
手を加えられながらも白井流デザインを随所に見る事が出来ました。
全員が気になったエントランスの天井。
トラバーチンという石張りでダウンライトが設置されてる。
「これ どうやったんだろ?」
白井建築の最高峰を見る事が出来たのでした。
今回の長崎はこんな地図を作って、これを片手に走り回った。
相変わらずのハードスケジュールで走り抜けるのはもう慣れっこになった設計部でした。