今回、仙台まで行った目的は2つ。
1つは物資搬送。
もう1つは被害状況から得たことを今後の東海・ビルドの建物に生かしていくこと。
そのための考察です。
諸機関から正式な対策発表がまだあまりされていない中、
あくまでも私たちが見てきたものに対する考察です。
その1—-擁壁倒壊・建物傾斜倒壊について
ブロック塀の傾斜。右に傾斜した土地を造成しているようです。
同じ並びの アパート。
白い服を着た大上の立っている位置から向こうに地割れをおこし、建物も向こう側に傾斜しています。
地割れの部分縦樋がこれだけ離れています。
反対を向いた写真。地割れラインが隣家を越して向こうまで伸びていきます。
何故こうなったか、またどう対処すればよいかの考察です。
あくまでも推測ですが。
一般的な宅地造成の場合
①もともと山があります。
②これを削ったり、盛土したりして段々に造成をします。
③最終的にこんな宅地ができます。
④ひとつの土地の中に盛土部分と地山部分が存在し、地盤境界ができます。
⑤地震が来て、Aの盛土が擁壁ごと左に滑ります。
上の写真の地割れは地盤境界に現れます。
といったメカニズムが推察されます。
では、どう対処したらよいか。
普段我々は普通にやってることなのですが、
まずボーリングという地盤調査を行います。
スウェーデン式サンプリングとか他の調査方法もありますが、
ボーリングで土質標本を採取し地質を知ることで盛土と地山の判断をするのです。
地盤の状況をつかんで、建物下は地山まで地盤改良や柱状改良、杭等を施して地山と同じ地盤にします。
こうしておくことで、滑り落ちる盛土と建物下の地盤とを違うものに変えてしまうのです。
その2—液状化
今回視察した範囲で液状化は確認できませんでした。
海の近くで起こったかもしれませんが津波により痕跡は判りません。
千葉で被害が多かったようです。
これもボーリング調査が大切です。
土質標本を採るときに含水率もわかります。
液状化は砂と水の層で起こります。
もし、こういった層が確認された場合、液状化検討という作業に入ります。
土質標本を使って液状化するかしないかを計算します。
この対応も地面の下で行います。
地盤改良などもありますが、層が深い場合は杭等で建物を支持することになります。
その3—津波
ちょうど今日、6/15の朝日新聞朝刊に名古屋の津波被害マップが掲載されていました。
名古屋駅まで津波が到達するのですね・・・
これは個々の建物でどうこうできる問題ではありません。
ただし・・・
見てきた範囲では確実にRC(鉄筋コンクリート造)の建物は復活していました。
もちろん、地震時の避難は必要で建物内にとどまることはしてはいけませんが
その後の災害復旧を考えると
コンクリート造建築の普及は地震にも、火災にも、津波にも有効であると思われます。
宮城県が復興計画を発表しています。
平地が少ない三陸地域は、住宅の高台への移転や職住分離を基本とする。
海岸付近は避難路や避難ビルを確保したうえで漁港を中心に整備。
水産業の振興を図るため、漁港は集約して再編する。
平地が広がる仙台湾南部地域は、最前線に海岸堤防や防災緑地を整備して津波を防ぐ。
併せて、高盛り土構造の道路や鉄道を造ることで、多重的に防御する。
両者の中間に位置する石巻・松島地域は、三陸地域と同様に高台移転や職住分離を基本とするが、
高台の確保が難しい地域もある。
そうした地域では、堤防のかさ上げや高盛り土構造の道路や鉄道を築くことで津波や地盤沈下による浸水被害を防ぐ。