挟土組 殿垣さんと東海・ビルドの一騎打ち
顛末記。
事の始まりは 去年秋の建築見学ツアー。
近江でヴォーリーズ建築を見に皆さんと1日過ごした日。
そのための下見に出かけた中での一コマ。
藤森照信氏設計の「ラ コリーナ」。
に至る写真下の小道。
に着目。
代表大上がこの土間仕上げをいたく気に入り、
同行した東海・ビルド 工務部長 奥村が見本を作って
高山に持っていく事になった。
当然、このままでは芸がない。
大上より
「切り株を木の節に見立てて、全体の模様を年輪に見立てた土間を作りたい。」
言うは易し、行うは難し。
奥村の挑戦が始まった。
切り株を木箱にセットして色モルタルを練って周囲に詰めていく。
色モルタルの色は本当の土で出すという凝りよう。
これに藁やススキの茎を切って乾燥させたものを貼り付けて、
乾燥後、これを撤去する。
という凝りよう。
さらにここに藁箒で箒目をつける。
という凝りよう。
そして凝りまくった奥村の肩が作り上げた作品がこちら。
ある日、90センチ四方、重量数十キロというこの試作品を工事部のワンボックスカーに積み込んで
工程会議会場に運んだ。
そして
鼻息荒く
お披露目!!
どうよ!みなさん。
こういった土間が作りたいのだ。
挟土組 殿垣氏
反応は
「ふーーーん。」
手応えのなさに脱力。
「大丈夫か?」
「わかってくれてるのか?」
もう、こちらは工程会議も上の空。
ちゃんとやりましたけどね・・・
翌週
現場に行くと殿垣氏が
「ちょっとこないだのやつ 作ってみたけど 見る?」
当然見るわさ。
すると
殿垣氏
車から3枚の塗り見本を無造作に下ろして
「これだけどさー、こんな事でしょ?」
「木の切り株は斜めにカットしないと節には見えない。」
「モルタルなんかではだめで、こっちでは頑固マサという材料を使う。」
etc……….
無口のひとだと思ってたのだが
機関銃のような左官の世界トークが始まった。
勝負は一瞬でついた。
余計なものを作ってすみませんでした 的な雰囲気をまといつつ
東海・ビルドは
完敗。
帰りの車中は
高山の匠の技の片鱗を見た事で
妙にハイテンションで名古屋に着いた。
思えば 奥村が試作品に手をつける前に
「高山の職人ならこれ見ても鼻で笑うんじゃないかー?」
と言っていた。
その通りでした。
次回は
殿垣氏の現場での仕事を紹介します。