こんにちは。設計部の増田です。
先日、娘の通っている小学校の運動会へ応援に行きました。運動神経が悪い娘が学年代表リレーの選手になったから絶対見に来てと言われました・・・きっと人一倍負けず嫌いな性格と根性で頑張ったのでしょう。脚の遅い娘が一生懸命走り、友達と本気で赤組を応援する姿を見て「友情・努力・勝利」という少年ジャンプ3大テーマを想像してしまう34歳のおじさんです。
それではお待たせしました。
話題沸騰中のTNHOUSEも先日完成引渡しを迎え、今回のブログで最後・・・から二番目になります。
全米が震撼したNo.7を見逃してしまったという方は、こちらをクリック!
今回はTNHOUSEのプロジェクトでの「伝えないと気づかない小さなこだわり」を紹介します。
・階段
黒い一枚の板がリズミカルな廻り階段部分。
実はこの階段の構成は集成材と鉄板が組み合わさって成り立っています。
それを一つのシンプルな形に見せるため、集成材を鉄板の厚み分だけ数ミリ削り、一体的に見せています。
拡大写真がこちら
よく見ると、よこにラインが一本入っています。そのラインの上が集成材で下が鉄板です。
大工さんが本当に良い仕事をしてくれます。
・階段手摺
四角い普通の手摺に見えますが、よく見ると・・・
二枚の板の間にスリットを設けて陰影を出しています。
上と下の二枚の鉄の板の厚みが12ミリと9ミリで異なるところがミソ。
同じ厚みの板で挟むよりも、少しだけ繊細な感じになりますね。
手摺全体では約32ミリ角で握りやすいサイズにもなっています。
断面はこのような感じです。
・木製引込戸
この扉は壁の中に完全に納まります。引き戸を開け放した時に存在が無くなるのが引き込み戸の一番の長所だと思います。そんな引込戸を引き出すときには木口面に設置された真鍮製の手掛を利用します。
ちなみに引手も真鍮の無垢のものを採用。よく触れる部分は質感を大切にしたいですね。
そしてこの扉の一番のこだわりは、シートの貼り方です。
ダイノックシートに代表される建築用のシールのようなものを貼って仕上られていますが、そのシールの継ぎ目がわからないように木口面に目地材を入れて押さえました。
上の絵の赤い線で書いてあるオルティノというものがアイカの建築用のシールのようなものです。
木口面にも一本の筋が入り、デザイン性も良く、シートが剥がれないという機能性も兼ね備えています。
また、上で登場した真鍮製のハンドルは、他の扉にも使用しています。
つまみやレバーハンドルなど様々なものがあります。金色に光り輝いていますね。
実は我が家にも同じレバーハンドルをLDKの扉に採用していまして、3年半程握り続けています。
その握り心地が素晴らしいです。扉についているので重量感がわかりにくいですが、内部が空洞の金物にメッキ仕上げのハンドルが多い中、このハンドルは内部も真鍮が詰まっています。
例えるならネギと大根のようなものですね。
これから何万回も握っていくと、この光り輝いたものが徐々に鈍く味わい深い光り方に変わっていきます。メッキでは到達しない輝きが楽しみですね。
・フロアコンセント
床に設置するフロアコンセント。たこ焼きパーティーの時に重宝しますね。
このフロアコンセントの特徴は、蓋を開けてコンセントを挿し、コンセントの頭が格納され、コードだけが出る点です!写真で説明しましょう。
蓋を開けてコンセントを挿すと、この中にコンセントの頭がすっぽり入ります。
蓋の先端をクルッと回しますと・・・
コードだけが出るような蓋に切り替わります。
最後にカチッと締める。
マニアックな会社の作っているフロアコンセントですが、素晴らしいです。
・コンクリートの塀の天端
工事部に無理言ってやってもらいました、V字天端。
安藤忠雄建築でよく見て憧れていたこのV天。通常は塀の天端に降る雨をどちらかに片勾配にして水が溜まらないようにします。塀の天端の中心に溝を設けて木口面の目地を伝って排水するV天。これにより、塀の両面が長年汚れにくくなります。目地部分のみが汚れていくわけです。
そこにも気配りを・・・
塀の天端を上から撮影してみました。
天端の溝の排水先がわかりますでしょうか?
塀の入隅や、塀の重なり部分など、ぱっと見て目立ちにくいところへ設けています。
さすが東海・ビルドの工事部ですね。きめ細やかな目線です。
「伝えないと気づかないこだわり」 如何でしたでしょうか?
このようなマニアな目線で建築を見てみると、より一層楽しめますね。
以上、ネギと大根の差でした。