番外編その①「樹木模型教室」
長久手フラッツの計画が無事まとまり、既存の建物の解体が近づいて来たある日の事、I先生から一本の電話。
「井上さん!模型の材料っていらない?」
「アトリエを掃除していたら、使わない材料が出てきて、捨てるの勿体ないから。」
既存のマンションの一室をアトリエとして使ってみえたI先生。
全盛期には学生が寝泊まりして卒業制作に勤しんでいた
伝説のアトリエ。
私は学生時代にI先生にはデッサン教室ではお世話になりましたが、課が違ったためアトリエに行った事はありませんでした。
しかしI先生率いる「プロダクト課」を専攻していた同級生からは、その存在は聞いていました。
そんなアトリエも永い時を経て、その役目を静かに終えようとしていました。
「折角なら材料を取りに来がてら、樹木の作り方を教えてあげようか?」
I先生からの有りがたいお言葉。
「そんな・・宜しいのでしょうか・・是非、有志を募って参ります!!」
という訳で開催された、伝説のアトリエで行う最初で最後の教室。
模型を制作するスタッフと共にお邪魔してきました。
まずは市販のコード(正式名は塩化ビニル銅線)を準備します。
コードの周りのビニールにカッターで切り込みを入れ、動線をむき出しにします。
そうです。初代のファミコン(ファミリーコンピューター)と
テレビを繋ぐときの要領です。
(・・40歳未満の方々には伝わらないかもしれませんが・・・)
どんどん剥きます。
剥き終わったら銅線を適度な量で束ねていきます。
これで幹と枝が出来ました。
次に準備するのは「ジェッソ」と「アクリル絵の具」
ジェッソは絵の具の下地材として使われるもので
まずは銅線に塗り、その上に木の枝っぽい色のアクリル絵の具を
上塗りします。
これで葉っぱが無い状態の「木」が出来ました。
ここまでのポイントは最初に「どんな樹種を作りたいか?」をイメージする事です。
樹木と一口に言っても針葉樹と広葉樹では葉っぱの形から幹や枝の生え方が違いますし、
世界中の樹種はおよそ6万種類程あるそうです。
I先生から
「公園にある木や街路樹など、ちょっと気にして観察してみたり
スケッチしたりすると良いですよ。」
とのお言葉を頂戴しました。
続いての工程は「葉っぱ」
市販の模型材料でもありますが、今回はI先生オリジナルの葉っぱを使い、先ほどの枝にあしらえば・・・
完成!
同じ説明を聞きながら制作した樹木も三者三様の出来栄え。
それぞれが頭の中でイメージした樹木が出来上がったどうかは定かではありませんが、今まで簡易的な樹木しか作っていなかったので、今回を機に(木に?)
樹木一本にもこだわった模型を制作していきたい!と一同心に誓ったのでありました。
最後に出来上がった樹木と共に記念撮影。
以上、逆光で薄暗い記念写真を撮影した井上がお届けしました・・