こんにちは。設計部 渡邉です。
引き続き上海建築視察のBlogを書いていきます!!
今回の研修では上海の建築視察が本テーマ。
個人的な裏テーマは“中国(上海)の街並み(カオス的!?)”
街並みには、その国の風土や文化が現れてくる。
日本では味わえない感覚。風や匂い、音や人。現地でしか感じられないモノがあると。
ベランダがなく、建物から物干しや室外機が突き出ている建物が多くあったり…(笑)
個人的なイメージ通りの街並みもありましたが…
街には近代的な建築が並び、特に上海の東地区は15年余りで大きく変貌しているそうです。想像以上に超高層建築が建ち並び、また広範囲に広がっていました。
現地のガイドさん曰く、西はもとからの上海。東は開発された新しい上海。中心部の分譲マンションは、1億~1億5,000万円が相場らしい。高すぎる…
建物全容を見るために、見上げてばかりで首が疲れました(笑)
まだ低層の建物は街中には存在するが、時間の問題で随時開発されていくのでしょう。
個人的には、混沌としたカオス的な風景も残っているほうが好きなのですが…。
ただ、貧富の差は街自体にも垣間見れた。例えば、高級車が多く走る中の三輪車もその1つか…。
さて、ここからが本題!
自分が気になった建築&素材をピックアップ!
『震旦博物館』 設計:安藤忠雄氏
上海では、幾つかの安藤建築を見て回りましたが、個人的にはここが一番!
外観からは、想像もできないぐらい内部が良かった。展示物の素晴らしさもさることながら、照明計画から細部(ディテール)のトータルバランスがとても洗練されていました。
特に、この2層吹き抜けの空間。
照度を抑えつつ、必要な明かりは確保。2層部分の渡り廊下も良い。
壁と展示物用開口、照明による陰影と全てがお互いを邪魔することなく…
現在、着工しているマンションにも通ずるところが…!!
正面の作品に光を当て、作品を際立たせながら周辺の照度も確保。
天井と床の際にライン照明を仕込み、室内の中にもう一つの箱が浮遊するような感覚
また、各階を結ぶ階段もきれいでした。
続いては、『船廠1862』設計:隈研吾氏
上海を縦断するように流れる黄浦江。その川沿いに、かつてあった造船工場をリノベーションした建物。
「1862時尚芸術中心」とも呼ばれ、施設内の店舗も慎重に選定した感じを受けました。
外装は、隈氏らしい!?素材を全面に出した感じ。
レンガをランダムにワイヤーに固定して外装としている。
内部は、リノベーションの好例。古い素材と新しい素材の足し引き具合が丁度よい。
また、この建物の照明計画も良かった。
あまり照度を高めず、トップライトからの自然光を入れつつ、自分好みの雰囲気でした。
サインも良かった。
鉄鋼を曲げて館名とするサイン。
錆板を使った、館全体の案内図。
こちらは、レストランの扉。と、EV。
建物のコンセプトを崩していない。
内装の仕上げ材には、アルミのL型アングルを使用している個所も。
ランダムに向きを変え、光の反射等で変化をつけている。
これは、安価でよいアイデア!
『龍美術館』設計:大舎建築設計事務所
この美術館で気になったのは、本館ではなく脇にポツンと建っている建築…。
スケール感が良く、コンクリートとガラス開口部の比率から、プロポーションも良かった。
どの角度から見ても様になっている。
黄浦江に面したデッキにも繋がっている。
ただ、使われている形跡はなく勿体ない…。
中国と日本の境目は思っていた以上になく、むしろ上海は洗練された街の印象を受けました。
現地を実際に訪れて、体感することの重要さを改めて感じることが出来ました。
To be continued…