モダニズム建築が日本で独自の進化を
遂げる中
メタボリズムという理論が生まれてくる。
メタボリズムとは、もともと新陳代謝を意味する用語であるが、
転じて人口の増大と技術の発展に呼応して更新される
都市の成長を説く建築運動を意味するようになった。
特に「中銀カプセルタワー」(黒川紀章設計、1972年)
は中央の垂直コアに無数のカプセルが取り付いて
新しい都市型居住を提案するもので、
メタボリズムのアイコンとして広く知られている。
銀座から歩いていける位置にあるのに
なかなか行かなかった
中銀カプセルタワー。
解体が予定されるなど
その行方は今も気になる。
一つ一つのカプセルユニットを更新してゆく
というコンセプトの建築だが
未だ、カプセルユニットの更新は行われていない。
狭小敷地に計画されたため、
ユニット内部はすべて工場でセットされ、
トラックで搬入されたのち、
ボルト締めにより短期間で取り付けられた。
黒川の頭の中では、
各々のユニットはいつでも取り外し可能で、
週末にはユニットをトレーラーに乗せて
富士山麓へ旅に出られる
ホモ・モーベンス(動く民)の家がイメージされていた。
私が行った日、
この建築の周りには大勢の外国人の姿が・・・
スケッチブックを開くもの
カメラを構えるもの
じっと立ち尽くして魅入るもの
そんな中に混じってスケッチブックを開くと
自然とこういった人たちと会話が始まる。
世界各国からこれを見るために日本に来た
という人々。
その価値を知らないのは日本人だけかもしれない。