続いて登場するのは
左官。
こちらも飛騨の殿垣左官が呼ばれた。
目が行きやすいのは
洞床風ニッチ。
地窓から庭の石柱を見せて
その上に
朱に群青の流れが描かれている。
ちなみに真ん中の柱は
あったままの姿で残した。
この左官仕事が目を引くのですが
殿垣左官の凄さは「普通」の中に存在する。
梁が飛び交う空間の白い壁。
「普通」に漆喰のようですが、
実はこれ
珪藻土。
あまりご存知ないかもしれませんが
珪藻土系の塗材はどちらかというと
ふわふわした表面で凹凸が多い。
この材質で調湿を行う。
漆喰は力を込めて押さえ込むことで
ツルツルの硬い表面に仕上がる。
「珪藻土の調湿性をもった漆喰壁風の表面が欲しい」
という私の無理難題。
殿垣左官は
「いや、それはできねーだろう。」
と
嬉しそうな顔・・・
一旦飛騨に戻り、試験塗期間を経て
「やるか」。
この家を体験する10人が10人とも
漆喰塗だと認知する壁が
珪藻土で仕上がった。
写真ではわからないのが
もどかしい。
さらに
調子に乗った設計者は
「この材料で壁目地にしてね。」
と優しく頼んだのが
同じ材料で塗られた
茶室専用玄関の壁と天井の交差部。
壁側に目地を入れるか、
天井側に入れるかで結構空間の
感じが変わるのですが
今回は壁上部に目地。
この影が欲しかった。