『地元にビルを建てる！』・・・数十年前の成人式。こうインタビューに答え、地元の広報紙に掲載された当時の青年、安江です。以前にもブログで書きましたが、私の育ったふるさとは人口の過疎化が激しく、懐かしい田園風景100選に選ばれても良さそうな、ゆったりと時の流れている素敵な町です。そこにビル。今思うと、調和のない、ナンセンスな夢です。ちょっと待てよ。トマム ザ・タワー・・・。・・・有りかな。

今年は、成人年齢が18歳に引き下げられ行われた初の成人の日でした。二十歳を祝う会などと名称変更された地域もありました。わが子を見て、自身の成人式を思い出しました。

その夢は形を変え、土地を替え、設計者も自分ではなく、（随分変わって原型がない・・・いとこの友達の友達・・・のような感じですが）金山駅近くに高層の素敵な、鉄筋コンクリート造11階建ての賃貸マンションの完成です。

今まで、色々な建物を建築させていただきました。弊社が得に得意とする鉄筋コンクリート造に限ってのお話しですが、中低層（5階までの建物）は壁で構造体を作る壁式工法に依る建物が主流（特にマンション）です。6階建て以上の建物には、壁式構造では対応できず、ラーメン構造（Rahmenドイツ語で額縁の意味）と呼ばれる、柱と梁で構成される工法で建築します。更に、高さが31mを超えると構造種別関係なく、消防法上では高層建築物と定義され、建築基準法も含め様々な厳しい規制がかかってきます。今回の建物は、高さ約33m。私の中で特別案件です。今回金山に建築する機会を与えて頂いたお客様に本当に感謝致します。

このタイミングで、新聞に載っていたのが、我がふるさとの新庁舎建設の記事。『まさかの高層か？』鉄筋コンクリート造一部木造の2階建て。当然です。面積774坪（え！大きい）。今年9月着工の2025年5月開庁予定、21ヵ月（ええっ！ゆったり～）。

弊社代表は建物の計画をする時、その地の歴史背景、環境、匂い、空気、風・・・を感じて設計に入るよう設計士に伝えています。構造だけのことで言うと、環境・・・木造かな。匂い・・・木造が良いかな。空気・・・木造が良いよ、きっと。風・・・木造にするしかないよ、絶対！・・・とはなりませんでしたが、東濃ひのきの産地を前面（全面もかな）に出している我が町です。出来れば、木造で計画して欲しかったな～。災害時の指令本部になるからという事も重要だから、鉄筋コンクリート造という選択肢もありか。どんな建物が完成するのか楽しみです。

先日こんな事がありました。「消しゴムで消すことの出来る色鉛筆が欲しいのですが、ばら売りでの商品はないですか？」レジで問い合わせると、『こちらです。』もう体がそちらに向かっている。（すごい。）『セット販売しかありませんね。確か、もう販売を止めてしまったはずです。』「一色だけ欲しかったんですけど、仕方ないですね。ありがとうございました。」とてもテキパキとした店員さんの対応に、気持ちよくなってその日は帰りました。

数週間後、別の文房具店にふらっと立ち寄りました。（あっ！ある。）同色を数本持ち、レジで確認。「これって、消しゴムで消すことの出来る色鉛筆でしょうか？」『・・・ん～。』背中を向け、カタログで調べ始めた。『そのような記載がないんですよね。違いそうですね。』「実は違うお店で、ばら売りはもう販売を止めてしまったはずと言われたんです。欲しい鉛筆に似ていたので。すみません。返却します。」あった所に戻していると、『画材コーナーにあるかも知れません！』（感嘆符まではなかったかな。）一緒に画材コーナーへ行くと、「あった！」『良かったです！』（今度はあった、感嘆符！）「ありがとうございました！！」

商品は分からないけど、一生懸命調べてくれた店員さん。違う（無い）という回答を見つけて、それで終わりにしなかった。もう販売中止のはずと聞いたのに、それでも終わりにしなかった。数百円だけど、お客様のためにと思って、考えてくれたから『あ！画材！』となったと思います。ありがとうございます。ましてや、何十万、何百万、何千万、何億のお買い物をして頂くお客様に真剣に向き合わないと！と店員さんに教えてもらった一コマでした。私たちは真剣にお答え出来ていますか。・・・・そうですか。ありがとうございます。今後も、分からない事があっても、お客様のためにと真剣に向き合っていきたいと思います。

そして現在天白区で13階建ての建物（高さ約44m）を建築中です。ありがたいことです。

世界の安寧を強く願う新しい年の始まりになりました。本年も引続き、東海・ビルド、ビルド建築設計室をよろしくお願い致します。