昨年発表された建築で記憶に残ったもの。
その1
アブダビの外皮が開閉するツインタワーが竣工している。
高さ150mのツインタワー。「アル・バハール・タワーズ」。
2012年の完成で、CTBUH(高層建築と都市居住に関する国際委員会、米国・シカゴ)の
「2012年超高層ビル 革新賞」を受賞した。
その理由は、昆虫の巣のような、植物のような何とも表現しがたい外観に象徴される、様々な試みによるもの。
その構成コンセプト図がこの図。
「イスラムの伝統建築」に加え、「サステイナブルな技術」と「バイオミミクリー的推論」という3点を統合する、
というもの。バイオミミクリーとは生物模倣のことを言い、
生物の形態や機能をヒントに科学技術などに応用する手法。
ミツバチの巣の構造を模したハニカム構造が有名。
このコンセプトを実現するために考え出されたのが、
アル・バハール・タワーズの東西南面を覆う可動式の外装スクリーン。
日本の折り紙からも着想を得ているそうで開閉の状況が面白い。
全部閉めるとこんなビルになる。
その2
みんなの森ぎふメディアコスモス。
伊東豊雄建築設計事務所。
延べ面積約1万5000m2。
鉄筋コンクリート(RC)造と鉄骨(S)造、木造の混構造。
2階の屋根架構に木造を採用する。
鉄骨の柱の上に、波打つような曲面の木造架構が載る形となる。
この木造架構のつくり方がユニーク。
通常であれば、曲線の集成材をつくり、
それを組み合わせて曲面架構を構成するところだが、
ここでは厚さ約20mmの岐阜県産ヒノキの板(無垢材)を曲げ、
3方向に層状に重ねてビス留めしていく。
延べ面積が3000m2を超える建物であることから、主要構造部は耐火構造であることが求められる。
ここでは、特別な木材を使わず屋根架構を木造にするために、
耐火性能検証法によって国土交通大臣の認定を得ている。
具体的には、書棚の一部をRCでつくるなどして、火災終了まで屋根架構に着火しないことを確認したそうです。